DTC ブランドが生き残るためには包括性が重要
Z 世代(2022 年の時点で10 歳~25 歳程度の若者)の購買力が高まっています。2021 年のブルームバーグの記事によると、Z 世代の可処分所得は3600 億ドル以上。これは数年前に比べて2 倍以上の規模であると推定されています。
ただ、現在の20 代の消費行動は、上の世代とは大きく異なっています。若い消費者は、持続可能性、社会的責任、そして何より「包括性(あらゆる要素を幅広く扱っていること。ブランドでいえば多様な商品や、固定の価値観にとらわれない商品を扱うことなど)」を重視しています。
そのためDTC ブランドも、包括性を意識することによって、より多くの顧客を獲得し、ファンを作り出すことができます。
なぜ包括的であることが重要なのか?
最近のMcKinsey の記事で、作家のTracy Francis とFernanda Hoefel は、「Z 世代は、自分自身が多様的でありたいと考えています。本物であることを求めることにより、表現の自由度が高まり、様々な考え方や価値観に対して寛容になっているのです」と述べています。
Z 世代は根本的に包括的ですから、Z世代に対して売り込みたいブランドはそれに従う必要があります。実際、包括的なブランドは、そうでない企業よりも35%も高い業績を上げています。
それでは、ブランドがより包括的になり、現代の消費者と好ましい関係性を構築するための方法を7 つ紹介します。
さまざまな肌色に対応した商品提供する
設立から100 年以上を経っているブランドであるバンドエイドは、様々な肌色に対応した「OurTone 絆創膏」を発表しました。対応自体は遅いと評価されていますが、レガシーブランド(伝統的なブランド)にとっても新しいDTC ブランドにとっても、大きな変化のきっかけとなりました。
現在、多くのブランドが、すべての肌色をカバーする商品を提供しています。
リアーナのフェンティ・メイクアップ・ラインは50 色のファンデーションを販売。メイベリンは2017 年に、ファンデーションを16 色から40 色に拡大。
Knix intimates は、多様な肌色に焦点を当て、有色人種の女性を称えるために#OwnYourTone というハッシュタグキャンペーンを始めました。
ジェンダーニュートラルな製品を販売する
玩具、化粧品、衣料品など、多くのブランドが性別を限定した商品やマーケティングから脱却しつつあります。
Target やOld Navy のような家庭用ブランドも、性別にとらわれない衣料品ラインを作っていますし、他のブランドも「性の多様性」を次のレベルへと進めています。
Odele beauty は、性別にとらわれないブランドを立ち上げており、「性別にとらわれたヘア製品を扱うことは、自分勝手なマーケティング戦略の一つである」と指摘しています。
同様に、Big Bud Press はユニセックスのジャンプスーツ、トートバッグ、スウェット、T シャツを作っています。Le Labo はユニセックスのフレグランス(香水などの香り系商品)のラインを提供しています。
また、水着さえもジェンダーニュートラルの領域に入りつつあります。ビーフケーキは、「あらゆる人が自信と快適さを感じられる、エコな水着」を販売しています。
インクルーシブマーケティングに適した広告の作成
「適切な包括性を持つこと」は、適切なマーケティング戦略から始まります。昨今の消費者は、年齢、性別、人種、能力を問わず、マーケティングが正しい(恣意的でない、誇張していないなど)ものであることを期待しています。
そして目の肥えた人は、ブランドが本物でないことを見抜きます。ブランドは何事に対しても誠実でなければなりません。また、「形だけの包括性(例:包括的ですとアピールするだけで実態が伴っていないなど)」を投入することも避けなければなりません。
ブラジャーのブランドであるThird Love は、あらゆる年齢や肌の色の女性を定期的に紹介しています。アーバンディケイ化粧品も、Instagram を使ってダウン症の顧客を強調することで人々の多様性を称えています。また、ジレットは最近、新しい動画広告にてトランスジェンダーの若者を擁護しています。
ユーザーが作成したコンテンツを共有する
インクルーシブとは、「さまざまな肌の色、性別、年齢層を含めて考える」ということだけを意味する言葉ではありません。「これがインクルーシブです」と形式だけのアピールをするのではなく、「実際のユーザー」に寄り添うことも大事です。
そしてZ 世代は、「実際のユーザーを使ったようなマーケティング手法」によく反応するのです。
Bumble は、「Find Me On Bumble」のキャンペーンにおいて、「ユーザーが作成したコンテンツを活用する方法」を広く示しました。
Bumble は、「ニューヨークのBumble ユーザー」を起用したウェブサイト、動画、Instagram アカウントを立ち上げました。これによりブランドのユーザー自らが、自分のストーリーを語り、アプリの多様性を紹介することが可能となりました。
すべての人々に対応する
DTC ブランドは、狭いターゲット層にサービスを提供するだけで満足してはいけません。「能力の違いを原因として排除される可能性のある人」をなくすことが大事です。ASOS は、車椅子利用者用のジャンプスーツなど、インクルーシブな衣服へのアプローチで賞賛されています。
ナイキは、簡単に着脱できるFlyEase シューズを開発するなど、「さまざまな能力を持つ人々」を取り込むために前進しています。
Target は、さまざまなニーズを持つ子供たちのために、感覚的に優しく、利用しやすい服で構成されたアダプティブ・キッズ・ウェアを販売しています。
あらゆるサイズの衣服を提供する
現在、多くのブランドが、プラスサイズ(大きめのサイズ)を別ブランドとして扱うのではなく、通常のサイズ展開に含めています。
Old Navy は、一つのお手本です。2021 年、同ブランドは服の販売方法に革命を起こす取り組みともいえる「Bodequality」をスタートしました。現在、0~30 サイズを提供していますし、3 種類のサイズのモデルによって、あらゆる体型の人に向けて衣類を紹介しています。
サイトの使い勝手を良くする
商品を利用しやすくし、高いレベルの包括性をマーケティングに反映させることができるようになり、多様な人々がサイトにアクセスするようになったとします。ただ、サイト自体が利用しにくいと意味があません。
現代のDTC のウェブサイトは、障がいのあるユーザーも利用できるようにする必要があります。そうすることで、サービスが向上し、SEO も改善され、さらには訴訟回避にもつながります。
聴覚障害者のためにalt テキスト付き画像を追加する、フォントサイズを拡大する、説明的なURL(アルファベットの羅列ではなく、言葉が入ったURL)を使用するなど、サイトの使い勝手を良くしましょう。
まとめ
DTC ブランドは、包括性を優先させる必要があります。消費者は包括性を期待していますから、それができないブランドは、すぐに見放されます。
カスタマージャーニー(ユーザーが商品・サービスと出会い、そこから購入・契約に至るまでの道筋)を包括的なものにしたいのであれば、Air360 がおすすめです。
Air360 によってカスタマージャーニーを追跡し、A/B テストを実施することで、「ユーザーはどのようにサイトを体験しているのか」を把握できます。
このような「ブランドの現状を、数的に捉える力」を身につけることにより、ブランドはコンバージョン率を高め、より多くのユーザーを引き付けることができます。