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eコマースにおけるアップセルと衝動買いの促進

eコマースにおけるアップセルと衝動買いの促進

実店舗では、衝動買いの促進やアップセル(顧客単価を向上させる取り組み)を科学的根拠に基づいて行っています。アメリカ人は1ヶ月に平均して182.98ドルの衝動買いをしています。棚の配置、エンドキャップ(動画が流れた後に数秒静止画を出す)、レジのディスプレイ、商品の配置など、衝動買いを促すための戦略がいろいろあるため、小売業者は最小限の労力で大きな収益を狙うことができます。また、eコマース環境でもアップセルを行い、収益を伸ばすことができます。

ただ、オンラインの場合、実店舗に比べると「購入予定ではない商品」は目に入りにくいです。しかし、収集したデータを活用すれば、クロスセリング(顧客が買おうとしている商品とは、別の商品を提案して、さらなる購入を検討してもらうこと)をしたり、衝動買いを促したりすることができます。豊富な顧客データやショッピングデータを実用的な戦略に変換することで、簡単に衝動買いをさせることができるのです。

小売コンサルタントであり、ファッション工科大学の教授でもあるShelley Kohan氏は、「すべての顧客に同じスタイルや色をすすめるのではなく、『将来購入するかもしれないものの候補』を深く理解し、顧客一人ひとりの好みに合致する可能性のある商品をすすめることが理想」と話しています。そのユーザーの過去の購入履歴や、他ユーザーの類似の購入履歴などに基づき、「客が買う可能性のある商品」を導き出すことが大事です。

ユーザーエクスペリエンス(ユーザーに良い体験を提供すること)、アナリティクス(分析)、パーソナライゼーション(個々人に合う機能や商品を提供すること)、AI、ダイナミックコンテンツ(ユーザーによって表示するコンテンツを動的に切り替える機能)などを活用して、「アップセルや衝動買いの促進がしやすいeコマースサイト」をデザインすることが重要です。

ここでは、eコマース・プラットフォームにおいて、「ユーザーが買いたい商品」を、「そのユーザーが購入を終えて離脱する前」に、目につく場所に配置するための方法・ポイントを紹介します。

アナリティクスとパーソナライゼーションがeコマースでの衝動買いを促進する

アナリティクスとパーソナライゼーションがeコマースでの衝動買いを促進する eコマースでクロスセルやアップセルを行う場合、「顧客が誰で、何を求めているか」を把握する必要があります。しかし、「顧客を本当に理解するためのデータ」を、取得するのは難しい場合があります。多くのeコマース・プラットフォームでは、アクセスする、カートに入れる、チェックアウトする、などの主要なアクションに対して、イベント(特別な対応)を用意できます。

チャットボット(質問に対して定型を返すチャット機能)、機械学習、仮想スタイリスト(ネット上でスタイリストやAIからアドバイスをもらえる機能)などによるサポートは、購買やアップセルを促しますし、正しいサイズの服を選ばせて返品を減らすこともできるとKohan氏は述べています。

ただ、サイトにアクセスしてから購入するまでの間には、多くのステップがあります。そのため、「ユーザーのサイト上におけるすべての行動」を把握できるプラットフォームを活用し、分析用に使える、大量かつ細分化されたデータを収集することが大事です。例えば、Air360はユーザーのすべての行動を追跡してくれますし、それを読み解きやすい情報に変換してくれます。そのため効果的な施策につなげやすいです。

こういったデータがあれば、戦略的にアップセルを構築し、衝動買いをする可能性が最も高い商品を選ぶことができます。また、商品を限定すれば、ユーザーが「商品が多すぎてわからない」と混乱して離脱することを防ぐことが可能です。また、データを活用すれば、時間をかけて商品をテストし、最適化することができます。

ダイナミックな(動的な)アップセルとクロスセルの活用

アップセルやクロスセルのための商品を特定するのは良いことですが、それだけでは不十分です。消費者はオンラインショッピングをより「自分の意志」に基づいて行うようになっているため、流されにくいです。そのため、小売業者はユーザーにとってより有意義な提案をする必要があります。

有効なアップセル戦略のポイントを挙げます。

  • 購入プロセスにおいて、複数の場所に表示できるダイナミックな商品バンドル(複数の商品をまとめたもの)を作成する
  • 在庫切れの商品を自動的に消滅させたり、ウィッシュリスト(アマゾンのほしい物リストのようなもの)に追加したりするよう促す
  • セグメント(特徴やニーズによってユーザーを区分けすること)を行い、その区分ごとに、提供する商品を適切に変える。

オンラインショップならではの難しさもあります。例えば、サイト内のリストは、ユーザーが他のものにスクロールするまでの数秒間しか、そのユーザーの注意を引くことができません。

しかし、衝動買いは、オンラインショップでも実店舗と同じように利益を生む可能性があります。18歳以上のオンラインショッパーの44%が過去3ヶ月間に衝動買いをしているというデータもあります(2018年)。

意味のあるデータを追跡・分析することで、「勘」や「なんとなく」を排除して、「根拠のあるアップセル施策」をしましょう。商品バンドルを構築する際には、テストとセグメント化を行い、「そのユーザーに適した選択肢」を提供しましょう。そして「楽しく快適な衝動買い」ができるように、ユーザーエクスペリエンスを最優先しましょう(ユーザーエクスペリエンスを犠牲にするような施策は基本的にNGです)。

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